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=内部告発= 企業はどう対応すべきか?

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フェイスブック(現社名;Meta)の元社員、フランシス・ホーゲンさんがアメリカ・イギリス両議会の公聴会でフェイスブックの内部告発に関する事実を証言しました。

フランシスさんは、フェイスブック退職時に大量の社内文書を持ち出し、ウオール・ストリート・ジャーナルに提供、AP通信やCNNも文書を共同で解析しているようです。

インスタグラムなどのSNSが青少年の心身に与える悪影響のデータを隠蔽したことなどを証言しているようです。

これに対してフェイスブック側では、そもそもフランシスさんは証言している事項の専門家ではなく、社内でも本件に関わるような会議には出席していないとして反論しています。

退職者が社内文書を大量に持ち出せるというフェイスブックの社内管理体制も問題だと思いますが、告発者が専門家でないとか、特定の役職者しか出席できない会議のメンバーではないというのはやや説得力に欠けると思います。

このような内部告発は、日本でも起こることがあり、公益通報者保護法という法律も存在します。

公益通報したことを理由として、公益通報が解雇等不利な扱いを受けることがないよう公益通報者の保護を図ることを目的としています。

内部通報制度を活用した適切な通報は、リスクの早期発見、企業の有効性を維持・向上させる正当な職務行為であると考えられています。

内部通報制度のしくみを社内で作ることで、今回のフェイスブック元社員のように、いきなり外部の報道機関に内部告発することを防ぐ効果もあります。

中小企業であっても、事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の窓口を設置したり、何社かが集まって共同で外部の専門機関に委託することもできます。

窓口を設置すれば、それで全てOKということではなく、経営トップとしては、以下のような責務を実行します。

  • コンプライアンス経営推進における内部通報制度の意義や重要性を社内に明確に示す。
  • 通報者に対して、通報したことによる不利益な扱いがされないことを表明する。
  • 通報に関する秘密保持を徹底する。
  • 利益追求と企業倫理が衝突した場合には、企業倫理が優先することを会社の方針とする。

内部通報者は、通報対象事実が生じ、または生じよう信ずるに足る事実があり、以下の事項に該当する場合、報道機関等の外部通報先へ通報することが認められています。

  • 通報すれば、解雇等不利益な扱いを受けると信ずるに足る相当な事実がある。
  • 通報すれば、証拠隠滅・偽造されるおそれがあると信ずるに足る相当な事実がある。
  • 労務提供先から正当な理由なく、公益通報しないことを要求された。
  • 書面・電磁的記録により内部通報した日から20日を経過しても調査を行わない、調査する旨の通知がない。
  • 個人の生命・身体に危害が発生、または発生する急迫した危険があると信ずるに足る相当な事実がある。

経営トップとしては、内部通報制度を密告と捉えず、自社を自浄化するための積極的な装置として活用したいです。