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マクドナルドも敵わぬジョリビーの顧客育成力

本稿は東京都中小企業診断士協会発行「SMECA2019年10月号」に私が寄稿した記事を掲載したものです。

1. ジョリビーとは

世界最大のファーストフードカンパニーであるマクドナルドは120か国以上に3万5千を超える店舗を展開している。進出先の国・市場でも業界リーディングカンパニーとして君臨するグローバル企業である。
 しかし、そのマクドナルドでさえハンバーガー市場でNo1になれず後塵を拝する企業がアジアに存在する。フィリピンの地場企業ジョリビーである。ジョリビーは、1975年創業のフィリピンのファーストフードチェーン企業であり、国内で1,200店舗以上を持つ。フィリピン国内に関して言えば、マクドナルドの倍以上の店舗数を展開しているナショナルブランドである。 

2. なぜジョリビーは選ばれるか?

ジョリビーのネーミングは「Jolly(楽しい、陽気な)と「Bee(ミツバチ)」を組み合わせた合成語である。赤いミツバチがジョリビーのキャラクターとして店舗前で出迎える。実際に店舗でオーダーしてみる。日本以上のコメ食文化であるフィリピンでは、KFCのチキンピースのようなメニューにさえもライスが添えられる。スパゲティはバナナケチャップの甘い風味がする。
 ジョリビーがなぜ支持されるのか、現地の消費者にインタビューしてみた。「マクドナルドは友人、ジョリビーは家族で行くところ」、「子供は甘いものを好むので、ジョリビーの味を好む」、「単品のハンバーガーやアイスなどは、マクドナルドの方が品質は良いかもしれないが、子供の頃からジョリビーの味に慣れている」等の意見が聞かれた。確かにジョリビーには家族連れが多く見られるようである。

3. ジョリビーは顧客を育てる

日の丸を立てたお子様ランチにノスタルジアを感じる日本人も少なくない。フィリピン人にとってのお子様ランチが、まさにジョリビーなのである。それ故、子供の頃に親に連れて行ってもらったジョリビーの思い出の風味は原体験となる。やがてその子供が親となり、自分の子供を連れて行くのは、マクドナルドではなく、やはりジョリビーである。世代を跨ぎ、ジョリビーのロイヤルカスタマーは育成されるのである。
 ジョリビーはアメリカ、香港、カタール・UAE・サウジアラビア・クウェートなどの中東諸国、ベトナム・ブルネイ・インドネシア・シンガポールなど東南アジアにも進出している。いずれもフィリピン人の出稼ぎ労働者が多く居住している地域である。母国の懐かしい味を求めて、多くの顧客が来店しているはずである。

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