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経済産業省が中小企業のためのAI導入ガイドブックをリリースしました

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経済産業省は中小企業のAI活用の指針として「AI活用ハンドブック」と「中小企業とAI人材の協働による課題解決事例」を先月31日にリリースしました。

 

今回リリースされた「AI活用ハンドブック」は卸売業・小売業のための需要予測をテーマにしたものと製造業のための外観検査(不良品あり・良品のみ)の3部があります。

 

内容は、機能・効果の概要、企画から導入までの工程や中小企業がAIを導入するために活用できる国・地域の支援窓口の案内などで構成されています。

このうち経営者は概要から企画まで、AI導入担当者はこれに加えてモデル構築や運用までを目を通すことが推奨されています。

 

企画では導入範囲の決定や導入費用見積りなどをカバーしていますが、導入範囲の決定にあたっては、かなり定量的に精査することが推奨されています。

下記は導入範囲決定に関するスライドの一部ですが、現状の問題点・課題をまず定量的に把握することを説明しています。

AI導入ガイドブック2

 

次の図は、企画段階でのチェックシートです。

AI導入ガイドブック3

このような形で目標値を数字に残しておくことにより、AI導入の効果を定量的に測定し、改善することができます。

 

これはAIに限ったことではなく、ITによる課題解決方法を選択する場合にはぜひ実践したいことです。

 

多くのケースではこのような企画段階でのKPI設定がなされないままIT導入がスタートし、結局作われなくなるケースが多いからです。
形式的に社内を納得させるためにやるのではなく、最終的にこの数字がどれだけの利益を創出できるのかまで踏み込みたいところです。

 

この後、モデル構築・導入運用と続きますが、詳細は経済産業省「中小企業のAI活用促進について」を参照してみてください。

全体的に初心者でも読み進められるように書かれています。

 

もうひとつの「中小企業とAI人材の協働による課題解決事例」の方は6社のAI導入事例が紹介されています。

AI導入ガイドブック4

上記の例では製造業の受注数量予測ですが、予測精度が向上したケースもあれば、しなかったケースもあることが記載されています。
向上しなかった場合はAIを使用することをやめたようです。

 

AIで全てが解決するわけではありませんので、場合によってはこのような判断も必要となる良い例だと思います。