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改正民法がいよいよ4月1日施行

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明治時代に制定された民法が120年の時を経て改正、いよいよ令和2年41日から施行されることになります。
中小企業がIT経営を推進する上でもポイントとなる点をまとめてみました。 

 

(1)保証人の極度額を定めない場合は無効

改正民法465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)

 

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

3 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

⇒保証人を求める場合は、極度額を定めないと無効になります。

 

 

(2)法定利率が3%に

改正民法404条(法定利率)

 

利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2 法定利率は、年三パーセントとする。

3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

⇒現民法では、当事者間の契約で定めていない場合は5%でしたが、これが3%となります。
以後、3年ごとに利率は見直されます。

 

(3)消滅時効の見直し

改正民法166条(債権等の消滅時効)

 

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。

⇒現民法では、売掛金債権、工事請負代金など一部の債権については1~3年で消滅時効となる“短期消滅時効”が存在しましたが、これが廃止されました。
改正民法では、債権を知った日から5年で消滅時効が統一されます。

 

 

(4)瑕疵担保責任から契約不適合責任へ

 <条文略>

請負契約における瑕疵担保責任が契約不適合責任という概念に変わります。
これにより、売り手側に過失がなくても、「納品物がその性質や数量などの点で契約に適合しない」と買い手側に判断されれば「契約不適合」と判断され、売り手側に契約責任が生じます。

従いまして契約段階で適合規準を当事者間で詰めておくことが重要になります。
また改正後の契約不適合責任では契約不適合を知った時から1年以内に通知をすればよいことになります。
ただし買い手側の責任追及期間は「最大で引き渡しから5年間」までという制限があります。

契約不適合となった場合の買い手側の権利として代金減額請求や契約解除ができるようになります。
一方、売り手側としては、請負契約において、改正後は未完成であっても買い手側にとって利益のあるものであれば、その利益の割合に応じて報酬を請求することができることになりました。 

なおIPA(情報処理推進機構)では、改正民法に対応した「情報システム・モデル取引・契約書」を公開していますので、ITベンダーへシステム開発等を発注する場合には参考にしてください。

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